ASRはタイヤスピンつまり空転を防ぐための装置です。現行のほぼすべてのバスには標準搭載されているASRですが、エアロバスMS8系にもオプション設定されていました。しくみとウォーニングランプが点灯したときの意味・対処法をまとめます。
しくみ
すべりやすい路面で、急にアクセルを踏み込むと、駆動輪(後輪)がスピンすることがあります。ASRは急なアクセルワークによりスピンが発生する可能性が生じると、エンジンの出力を抑え、後輪の駆動力を抑制します。これによりタイヤスピンを防止する役目を果たします。
ASRはABS(アンチロックブレーキシステム)と連携して作動します。より正確にいうと、ABSのなかにASRが組み込まれています。よって、ABSが正常に作動できる状態にあることが、ASRの作動条件です。MS8系はABSは標準装備ですが、ABSが故障している場合はASRも動作しません。
「ASR解除スイッチ」の使いかた
ASRが搭載されている車両には、「ASR解除スイッチ」が設置されています。

通常はASRを解除する必要はありません。しかし、雪道や砂利道など、すべりやすい道を登ったり、雪や氷の溝から抜け出そうとする場合などは、解除する必要があります。ASRが作動していると、このような路面では容易にスリップとして認識されてしまい、エンジン出力が抑制され、十分な駆動力が得られません。こういったときに「ASR解除スイッチ」を使用して、一時的にASRを解除し、強い駆動力を得ることができます。
「ASR解除スイッチ」は、メーターパネル右横(エアコンコントローラーパネル上)に設置されており、上側を押すと「解除」になります。「解除」にすると、ASRが60秒間だけ作動しなくなります。この間はスリップが発生していても、エンジン出力は抑制されず、最大の駆動力を得ることができます。解除されている間は、「ASR」インジケーターランプがメーターパネルに点灯し、運転手にお知らせします。

ASRインジケーターランプが点灯したときは?
次のいずれかに該当すると、ASRインジケーターランプが点灯します。
- ASRが作動しているとき
- エンジン制御回路の故障のとき
- ASR解除スイッチが押され、ASRが解除されている間
後輪のスリップが発生し、ASRによりエンジン出力が抑制されている間、ASRインジケーターランプが点灯します。また、ASRのエンジン制御回路系統に故障が発生している場合も点灯します。
ABSインジケーターランプが点灯しているときは?
ASRはABSに組み込まれているシステムです。よってASR異常時は、ABSインジケーターランプが点灯します。

メインスイッチON~走行前に点灯しているのは異常ではありませんが、走行してもABSインジケーターランプが消灯しない場合や、一旦消灯するが、走行中に再点灯する場合は、ABS・ASRの故障が考えられます。

ABSインジケーターランプの表示の意味は、ABSの解説ページに記しています。詳しくは、ABS(アンチロックブレーキシステム)の解説ページをごらんください。