【Nextcloud】自宅サーバーで5年使って感じたメリットをまとめてみた

サーバー

 クラウドストレージって便利ですよね。どこにいても必要なファイルにアクセスできますし、パソコンとタブレットなど、すべてのデバイスでファイルを同期することができます。

 Nextcloudは、そんなクラウドストレージを「無料で」「自分専用に」構築することができるプラットフォームです。

 筆者はラズベリーパイに構築し、5年ほど使用していますが、非常にメリットが多いなあと感じていますので、実際に使ってみて感じたことを紹介したいと思います。

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Nextcloudサーバーをクラウド上に構築するサービスを行っております。

詳しくはお問い合わせフォームよりご連絡ください。サーバーの用意・セットアップから保守まで担当いたします。

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Nextcloudとは?

 Nextcloudとは、オープンソースなクラウドストレージの1つです。

Nextcloud - Open source content collaboration platform
The most popular open source content collaboration platform for tens of millions of users at thousands of organizations ...

 OneDriveやDropboxといったサービスを利用されている方は多いと思います。Nextcloudを使用すると、こういったクラウドサービスを自分のサーバーに構築することができます。

オープンソースで開発されているので、誰でも無料で構築することができますが、その完成度の高さは有償のサービスに比肩(というか凌駕)するものとなっています。実際、エンタープライズ用途でも使用されており、完成度の高さには定評があります。個人でもそのメリットを享受できますので、OneDriveやDropboxといった有償サービスと比較しながら、Nextcloudのメリットを紹介していきたいと思います。

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ここがいい!Nextcloudを使うメリット

【メリット①】月々のコストがかからない!無料でつかえる!

 Nextcloudを使う一番のメリットは、なんといっても無料で使えることです。

 Nextcloudは、公式サイトからダウンロードして、自前のサーバー(NASやラズパイでもOK!)にセットアップして使用します。このように自分で運用スタイルのことをオンプレミスといいますが、オンプレミスで使う限り、利用料は発生しません。ずっと無料で使い続けることができます。

ずーっと無料!

 しかも、自分のサーバーで運用しているので、運営会社の都合でサービスが終了する恐れもありません。最近、Googleフォトが無制限保存サービスを終了することが話題になりましたが、オンプレなら提供側の都合に振り回される恐れがないので、安心して使用することができます。

【メリット②】いくらでも容量を増やせる

 Nextcloudはいつでも・いくらでも容量を増やすことができます。Nextcloudを動かしているサーバーにハードディスクを増設すれば、際限なく使用できるサイズを増やせます。

 一般的に、クラウドサービス(OneDriveやDropboxなど)は、容量に応じて価格が上昇していくのがふつうです。例として、OneDriveのプランを見てみましょう。5GBまでは無料、20GBまでは¥224/月、最大1TBまで¥1284円というように、保存しているサイズに沿って月々の支払い額が大きくなるようになっています。

OneDriveのプラン一覧。容量に応じてだんたんと値段が上がっていくことがわかる
クラウドサービスは容量が上がったときのコストがネック

 しかし、Nextcloudなら、ストレージの増設にかかるコストを1度払うだけで、永久にその容量を使い続けることができます。1TBのHDDなんて、今や5000円ちょっとで買えてしまいます。OneDriveの年コストの半分以下を1回払うだけで、永久に1TBの容量を使い続けることができます。

 容量を気にせず、思う存分大切なファイルを保存できちゃうんです。

【メリット③】無料でも機能はトップクラス!

 Nextcloudはもともとエンタープライズ向けに開発されています。このため、非常に高い機能性・拡張性を有しています。

 検索やタグ付けといった一通りの基本機能がきっちり作り込まれています。過去の時点にさかのぼってファイルを取得することができる「バージョン機能」などをはじめ、クラウドストレージならではの様々な便利機能もあまねく搭載しています。当然ながら、URLリンクで共有したりすることもできます(後述)。

nextcloudのクライアントアプリ
もちろんデバイス間でのファイル同期もできます。クライアントアプリもすべてのOSに対応しており、しっかり動作してくれます!

【メリット④】UIがわかりやすい!

 UIがとてもわかりやすいです。Ajaxによる非同期処理に対応しており、ドラッグ・アンド・ドロップによるファイル操作などはもちろんのこと、Dropboxなどの有料サービスに引けを取らないクオリティになっています。

アプリも大変よくできています。

iOS・Android両対応のアプリが無償で提供されており、NextCloud上のファイルに手軽にアクセスすることができます。モバイルアプリも同期に対応していますので、例えばiPadで編集したファイルをPCで参照するといったこともできるようになっています。このほかにもオフライン対応やデバイス内にあるファイルの自動バックアップなど、無料にも関わらず、さまざまな機能が実装されています。

【メリット⑤】ラズパイでもOK!さまざまなマシンで動かせる!

 高機能なNextcloudですが、サーバー側の処理能力はそれほど必要としません。筆者はラズパイ(Raspberry Pi 3B)で運用していますが、ちょっと遅さはあるものの、実用上差し支えないレベルとなっています。ラズパイ4Bならサクサク動作すると思われます。

また、QNAPSynologyといったNASでも動作させることができます。Dockerイメージも提供されており、導入もかんたんです。

いろんな便利機能が満載!

あまりフューチャーされていないような機能も紹介しておきましょう。細かいところまでよくできています。

タグ・お気に入り機能でファイルを整理できる

タグやお気に入りといった機能で、たくさんのファイルを効率よく整理できます。

検索も充実

検索や共有といった基本的な機能も、しっかり装備されています。

写真も管理できる

フォトプラグインにより、NextCloudにある画像ファイルをかんたんに参照することができます。

プレビューの事前生成にも対応していますので、一眼レフで撮影した大容量のファイルであっても、サクサク閲覧することができるようになっています。

グループウェアとしても使える

ストレージとしてのみならず、カレンダーやタスク管理、メールや連絡先といった機能も追加できます。

シンプルなUIですが、Googleカレンダーと連携したり、ほかのユーザーと内容を共有したりすることもできます。小規模であれば、十分、グループウェアとしても使えます。

さまざまな制限をかけられる共有機能

当然のごとく、共有機能も装備しています。

URLでの共有のほか、Nextcloudに登録されているほかのユーザーに直接共有することもできます。パスワードで保護したり、有効期限を設定したりすることが可能です。

また、1つのファイルに対し、複数の共有ルールを作成できます。一方には編集可能で共有し、もう一方には閲覧のみで共有するなどということも可能です。

ファイルの受け取りにも使える

Nextcloudはファイルの受け取りに使用することもできます。

たとえば、大学のレポート提出先としてNextcloudを使うといったことも可能です。

コメント機能でレビューできる

ファイルにコメントをつけることもできます。

みんなとファイルを共有して、レビューしあったりといったこともNextcloudなら難なくできてしまいます。コメントを検索することもできますので、タグの代わりに活用するという使い方もできます。

外部ストレージとの連携も可能

NextCloudはほかのストレージと連携したファイル管理にも対応しています。SambaやWindowsサーバーの共有ドライブ(SMB/CIFS)、Amazon S3、SFTP、OneDriveやDropboxなど多くのストレージに対応しており、これらにあるファイルも一元管理することが可能です。

NextCloud経由で編集した場合は、外部ストレージのファイルについてもバージョン機能が有効になります。

また、NextCloudが動作しているサーバー内にある任意のディレクトリをNextCloudにマウントさせることもできますので、例えばLinuxのホームディレクトリにNextCloudからアクセスできるようにしたりといったことも対応できます。

PDFビューアが装備されている

はじめからPDFビューワやフォトビューワが装備されています。ファイルをダウンロードしなくても、ブラウザだけで内容を閲覧することができます。

デフォルトではPDFと画像ファイルをブラウザから閲覧することができますが、プラグインをインストールすることにより、Officeファイル(Word,Excel,PowerPoint)も閲覧・編集できるようになります。Office365のようなシステムを完全OSSで自社内に構築することができます。

モバイル端末などで閲覧するとき、大きなファイルをダウンロードする必要がなくなり、通信量やダウンロード時間を削減できるというメリットもありますね。

豊富なロギング機能

「アクティビティ」ページから、各ファイルへのアクセスログを確認することができます。

ファイルごとにチェックすることもできるので、例えば共有リンクを作成したあと、相手がファイルをダウンロードしたかなど、リアルタイムに確認することができます。

バージョン機能(TimeMachine)

上書きして消してしまったときに役立つ「バージョン機能」。MacでいうところのTimeMachineに相当する機能ですが、Nextcloudにもしっかり搭載されており、過去の時点にさかのぼってファイルを取り戻すことができます。

バージョンを保存しておく日数や「直近○分間のバージョンは必ず残す」など、環境に合わせてさまざまなカスタマイズが可能です。

タスクスケジュールで自動管理

エンタープライズ向けのプラグインも多数提供されています。どれもしっかり作られており、安心して使用できます。

「Flow」はタスクスケジューラのようなことができるプラグインです。条件を指定しておくと、マッチしたファイルに対して自動的にタグを付けたり、削除したりすることができます。

自動でPDFに変換!

自動的にPDF変換してくれるプラグインなどもあります。

サーバーのモニタリングもできちゃう

設定ページから、システムの負荷状況やディスク使用率を簡易的にモニタリングすることもできます。

ディスクの容量が十分にあるかなど、手軽に確認できます。

カスタマイズ性に優れているのも特徴

 もともとNextcloudは単なるクラウドストレージではなく、クラウドサービス全般を提供できるプラットフォームとして設計されています。プラグイン方式をとっているため、かんたんに独自のアプリケーションを組み込むことができます。

 メインのファイルストレージとしての機能も、内部的にはプラグインとして実装されています。開発者はPHPとJavascriptにより、独自のプラグインを実装することができますので、社内システムなどを組み込んだりすることも容易に対応可能です。

運用スキルは必要!

 オンプレミスの宿命ですが、安心・安定してNextcloudを使い続けるには、ある程度のサーバー運用スキルが必要となります。

 例えば、バックアップ。データが格納されているディスクが故障した場合、保存していたすべてのデータが水の泡となってしまいます。そういったことがないように定期的にデータを別のディスクへコピーするなどといった適切なデータ管理が必要です。

 また、ディスク故障時のダウンタイム対策も、業務用途であれば必要となります。RAIDを組むなどして、万が一ダウンしたときの復旧手順などもあらかじめ準備しておく必要があります。

 とはいえ、これらのことはネットで調べればたくさんの方法がヒットします。個人用途であれば、きちんとバックアップさえとっておけば、それほど問題にはならないでしょう。

まとめ

Nextcloudのメリットやできることをまとめてみました。

これまで5年間使ってきましたが、とにかく便利です。「これでホントに無料か?」と思ってしまうくらい、細部に至るまでよくできており、今やNextCloudなしでの生活は考えられない状態となっています。

クラウドを使っていて、「容量がいっぱいだ~!」「料金が高い~!」という方でサーバー運用に興味があるのであれば、ぜひ導入してみることをおすすめします!

ちなみに当記事では紹介していませんが、LDAP認証などのエンタープライズ向けの機能もきっちり実装されています。業務用途でも十分対応できるスペックとなっていますので、企業様においても有料サービスを導入する前に検討してみることをおすすめします。

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