だいぶ涼しくなってきましたね。冬になる前に必要になるのが、バスエアコンの整備。とくにプレヒーターの整備は重要です。デンソーバスエアコンのプレヒーター整備についてまとめてみました。冬本番になる前にきっちりやっておきましょう!
プレヒーターとは暖房用熱源機のことです。クーラントをバーナーで温めて、暖房の熱を供給する働きをします。
北海道など寒冷地の住宅には温水暖房が装備されていることがありますが、温水暖房のボイラーにあたるものと考えてもらえばよいでしょう。
プレヒーターの場所は?
プレヒーターの設置場所は、直結式とサブエンジン式で異なります。
- 直結式は、右後タイヤ後方のスペースに設置されています。
- 路線バスについても同じ場所に設置されています。
- サブエンジン式はエアコンユニット(サブエンジンユニット)に内蔵されています。デンソーエアコンも三菱バスエアコンも車両右側のサブエンジンエアコンパネルからアクセスできるようになっています。
ウォーターポンプは全車右後ろタイヤ後方のスペースにあります。ウォーターポンプは、直結式もサブエンジン式も同じ場所です。
ポイント① ゴミがたまっていないか?
プレヒーターの吸気口・排気口や燃料フィルターにごみが溜まっていないか確認しましょう。
吸気口はプレヒーターバーナー部にあるガラリ、排気口はプレヒーター窯部分の下に向けて設置されているパイプです。
泥や葉っぱなどで塞がれていないか確認します。
ポイント② 温水ストレーナの清掃
温水ストレーナとは、暖房温水回路に設置されているフィルターのことです。プレヒーター左横に設置されている縦長の筒状のものになります。
ストップバルブを閉じてから分解し、ゴミがたまっていたら取り除いておきます。温水の流れは上から横です。
キャップを外すとフィルターを取り出すことができるようになっています。
点検後にストップバルブを開いておきます。
ポイント③ 温水バルブは開いているか?
観光バスの場合、温水バルブは夏季も含め常時開放が原則ですが、念のため、ストップバルブが開いているか確認しておきましょう。点検後の開け忘れに要注意。
路線バスはヒーターが車内に露出しているうえ、電磁弁なども設置されていないため、温水バルブが開いていると、車内温度が上がることがあります。そのため、夏季はバルブを閉じておくのが一般的です。しかし、観光バスの場合は、温水流量は電磁弁により自動的に制御されるため、バルブは年中開放で使用します。
ポイント④ 燃料は来ているか?燃料の呼び込み
プレヒーターの燃料バルブを閉じていた後など、燃料フィルターに液面が認められない場合は、燃料の呼び込みが必要です。フルオートエアコンの場合は、コントロールパネルで呼び込み操作を行えます。
※燃料フィルターに液面が確認できる場合は、当手順は不要です。
【手順1】点検モードに入る
エアコンのスイッチが切れていることを確認し、「自動」と「点検」を同時に長押しします。
【手順2】燃料ポンプを動作させる
パネルに00と表示されたら、「TEMP」の▲を押し、H3モードにします。
H3モードになったら、「自動」と「冷暖房」スイッチを同時に長押しします。
すると、燃料マークが点滅し、プレヒーターの燃料ポンプが作動します。
30秒すると、表示が変わり、ポンプが停止します。燃料フィルターを確認し、液面が確認できれば呼び込み完了です。液面が確認できなかった場合は、再度呼び込みを行ってください。「ON/OFF」スイッチを押すとH3モードに戻りますので、再度「自動」と「冷暖房」スイッチを同時押しして、呼び込みを行います。
呼び込み後は、プレヒーターの動作確認をします。
ポイント⑤ プレヒーターの動作チェック
温水バルブの開放を確認したら、プレヒーターの試運転を行います。
車両のエンジンを始動し、設定温度を30℃にしてエアコンを稼働させますと、プレヒーターが作動します。正常に暖房が動作するか確認してください。
- すぐに点火するか?
- プレヒーター排気口から白煙が出ないか?
- 車内足元吹き出し口から温風が出ているか?
などを確認します。
あわせてウォーターポンプの動作も確認しておきます。
ウォーターポンプはプレヒーター上部・奥の方に設置されていますので、水漏れなどがないか確認しておきましょう。
万が一エラーコードが表示された場合は、次のページをご覧ください。歴代のデンソーバスエアコンのほぼすべてのエラーコードを掲載しています。
なお、走行直後など水温が78℃を超えていると、プレヒーターは作動しません。できれば水温がLoになっている状態で点検することをおすすめします。また、点検中はプレヒーターや温水回路が高温になるため、熱傷などに十分注意して点検してください。
よくあるトラブルQ&A
よくあるトラブルをまとめてみました。
- プレヒーターの点火がうまく行かない場合
→燃料の呼び込みができているか確認。フューエルフィルターに液面が認められるかチェック。認められないときは燃料の呼び込みを行います。 - プレヒーターから白煙が出ている
→しばらく様子を見る。シーズン初めは白煙量が多くなるので、多少の白煙は問題ありません。いつまで経っても煙の量が多いときは、ディーラーで分解整備が必要です。 - 温風の温度が低い
→ウォーターポンプが動作しているか・ストレーナが詰まっていないか確認します。 - 風量が少ない
→フィルターが汚れてないかチェック
残留している古い燃料の影響で、シーズン初めはどうしても多少の白煙は出てしまうようです。煙の色が黒かったり、明らかに煙の量が多すぎるとき以外は、しばらく様子を見てみるのがよいでしょう。
まとめ
プレヒーターの点検項目についてまとめてみました。
バス特有の装備であるプレヒーターですが、走行中に火炎を扱うため、適切な点検が不可欠です。万が一、整備書を紛失してしまっている場合などにお役立ていただければ幸いです。
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