1月31日、日野自動車は大型トラック「日野プロフィア」の出荷を一部再開することを発表しました。大型バス「日野セレガ」についても、1月27日に型式指定の手続きを始めているとのことです。
A09Cエンジン搭載車のみ出荷再開(2月中旬から)
日野自動車の公式発表によると、出荷が再開されるのは同社の大型トラック「日野プロフィア」のうち、「A09C」というエンジンを搭載しているモデルです。
A09Cエンジンは昨年燃費測定における不正が明らかとなり、国土交通省による型式指定が取り消され、出荷停止が続いていました。
その後再申請を行い、A09Cを搭載する日野プロフィアの型式指定を受けることができたため、2023年2月中旬をめどに出荷を再開する予定とのことです。
あわせて、同じA09Cエンジンを搭載している大型観光バス「日野セレガ」についても、2023年1月27日に型式指定の再申請を行ったとのこと。こちらも問題なければ近々出荷が再開されそうです。
A09Cエンジンとは?E13Cエンジンの違いは?
そもそも日野自動車の大型トラック「日野プロフィア」には、2種類のエンジン(A09CエンジンとE13Cエンジン)がラインナップされていました。
今回出荷再開が発表されたのは、このうちA09Cエンジンを搭載したトラックのみとなります。
A09CエンジンとE13Cエンジンの違いは、出力にあります。
A09Cエンジンは9Lクラスのディーゼルエンジンです。おおむね300馬力から380馬力を発生でき、大型トラックのなかでも積載能力が小さめトラックに搭載されています。
日野自動車の大型観光バス「日野セレガ」やOEMの「いすゞガーラ」にも採用されており、同車種において、多くのバスに搭載されています。
一方、E13Cエンジンはより大きな排気量(約13,000cc)を有するエンジンで、A09Cより強い出力を発揮できるエンジンです。
積載能力が大きいトラックやトラクタヘッド(トレーラーを牽引するトラック)、大型観光バスのなかでも車高が高い「スーパーハイデッカー」と呼ばれるタイプのバスなどに搭載されています。
出荷再開による影響やいかに
今回、型式指定が認められたのは「日野プロフィア」のA09Cエンジン搭載車のみです。
E13Cエンジンの型式指定についてはまだ行われておらず、「日野プロフィア」「日野セレガ」全モデルの出荷再開には至っていません。
しかし、一部とはいえ、1年近くに渡り中止されていた大型トラックの国内出荷再開は、日野自動車不正問題への新たな光になりそうです。
大型トラック「日野プロフィア」の出荷台数のうち、約2/3に搭載されていたのはA09Cエンジンです。A09Cエンジンの型式認証に成功すれば、それなりの台数が出荷再開できることが予想されます。
また、型式指定の再申請が進行中の大型観光バス「日野セレガ」についても、不正前は高速バス・観光バスを中心に広く導入されていました。
SHDモデルや長距離バス仕様を除き、ほとんどがA09C搭載モデルとなります。
日野セレガについても、かなりの台数を出荷再開できると思われます。
現行の日野セレガが販売されるまで、バス業界では三菱ふそうが覇権を掌握していましたが、その牙城を崩し、ここ15年くらいシェアをメキメキと伸ばしてきた日野セレガ。
プロフィアもセレガも、果たして不正問題前の勢いを取り戻してくれるのでしょうか?注目です。