日野自動車は2022年3月の不正発覚後も販売を継続していた小型トラック「デュトロ」の販売を新たに中止する旨を発表しました。国土交通省の立入検査により、新たな不正が発覚したためです。日野デュトロはヒノノニトンのCMで知られていました。
「ヒノノニトン」で知られる小型トラックでも不正発覚
燃費・エンジン認証にかかわる不正が発覚した日野自動車。2022年8月3日より、国土交通省による立入検査が行われていました。
https://www.hino.co.jp/corp/news/assets/ab73c0129b8fc217207bd7ae8b1750bf.pdf[キャッシュ]
その結果、日野自動車が主力車種として販売していた小型トラック「日野デュトロ」のエンジンについて新たな不正が発覚したとのこと。
同車種に搭載されているN04C(HC-SCR)と呼ばれるエンジンにおいて、排ガス認証が適切に行われていなかったことが判明しました。
日野デュトロ(2t以上)のエンジンには、N04C(尿素SCR)とN04C(HC-SCR)という2種類が用意されていました。N04C(尿素SCR)についてはすでに販売中止されていましたが、HC-SCRモデルは不正が確認されていなかったことから、引き続き販売が行われていました。
しかし、今回の立入検査でHC-SCRモデルでも不正が発覚。結果的に2t以上の日野デュトロはすべて販売中止されることになりました。
SCRの違いについては前回の記事で解説しています。
日野デュトロは「ヒノノニトン」のCMで知られている小型トラックで、年間およそ2万台以上販売されていた日野自動車の主力車種です。運送業のみならず、自営業や農業といった個人に対しても多く販売されており、販売中止はかなりの痛手になりそう。
なお、日野デュトロの1.5トン車については、該当のエンジンを搭載していないため、引き続き販売するようです。
ほぼすべての車種が販売中止。壊滅状態の日野自動車
今回の発表により、日野自動車が製造するほぼすべてのエンジンにおいて不正が明らかとなりました。結果的に、日野自動車が製造していたほとんどのトラック・バスが販売停止に追い込まれています。
さらに、トヨタ自動車の小型トラック「ダイナ」と「トヨエース」も販売中止に。これらのトラックは日野デュトロのOEMであるため、あわせて販売中止となってしまいました。
不正を克服できる技術力はあるのか?
前回の記事では楽観的な見方をしていた私ですが、現在はやや悲観的な見方に変わっています。
年間2万台以上販売していた小型トラックの販売中止による収益的な打撃も然りですが、一番の心配は日野自動車の技術力についてです。
日野自動車がトラック・バスを再び販売するには、燃費や排ガス基準の認証を取り直す必要があります。しかし、これだけ長く不正を行ってきた同社。そもそも認証を正式に取得できるだけの技術力があれば、不正に手を染める必要はなかったはずです。
再認証を取得するだけの技術力がなかったとしたら、販売再開は不可能ということに。万が一現実となれば、日野自動車の経営に深刻な影響を与える可能性が高い。
ほんとにどうなってしまうのか。心配です。
↓前回の記事
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