「プレヒーター」って知っていますか?
バスにしかない装備のため、初めて聞いた方も多いでしょう。しかし、バスには無くてはならない重要な装置ひとつです。
今回はこれからの時期に必要になるプレヒーターとはどのようなものなのか解説していきます。
プレヒーターとは?
プレヒーターとは、エンジンの冷却水を暖めてくれる装置のことです。
いわばボイラーのようなもので、バス業界では「窯」とも呼ばれています。多くの路線バス・観光バスでは右側後部に格納されており、スイッチを入れると、エンジンの冷却水(クーラント)をバーナーの炎で暖めてくれます。
断熱性ゼロ!バスの暖房は非常に難しい!
なぜプレヒーターが必要なのでしょうか。
それは広いバスの車内をしっかり暖房するためです。
そもそも車のヒーターは、エンジン冷却水の熱を利用しています。エンジンから発せられる熱でエンジン冷却水を暖め、ポンプで車内のヒーターへ送ります。暖かくなっているエンジン冷却水に風を当ててやり、温風を生み出すことで、車内を暖房しています。
しかし、この仕組みは乗用車やトラックでは成り立つものの、バスにおいてはなかなか難しいものがあります。
まず、バスは四方を大きな窓ガラスに囲われており、断熱性が非常に悪いという問題があります。乗客が乗り降りする際には、乗降口を頻繁に開けなくてはならず、せっかく暖房してもすぐに外気に熱を奪われてしまいます。
十分な暖房をするには、かなりの熱量が必要となるのです。
バスの暖房必要熱量は30kW以上にもなります。
10畳用石油ファンヒーターが本気を出したときの熱量がおよそ3kWくらいです。
単純計算でも100畳以上暖房できる能力が必要となります。
また、クーラントの量も乗用車とは桁違いに多くなります。
エンジンから運転席のヒーターにいたるまで、かなり長い配管が設置されており、観光バスでは100Lを超えるクーラントが必要となるのがふつうです。路線バスでもやはり100Lくらいのクーラントが積まれています。
一般的にバスの暖房に必要なクーラントの温度は70℃以上とされていますが、発熱の小さいディーゼルエンジンでこれだけの量のクーラントを70℃まで暖めるのは、現実的ではありません。
そこでプレヒーターの出番!
そこで開発されたのが、今回の主役であるプレヒーターです。
プレヒーターは別名「暖房用予熱器」とも言われ、軽油や灯油で燃焼するバーナーとクーラントを流す熱交換器が搭載されています。いわばお風呂の追い焚き機能のようなもので、クーラントをポンプで勢いよく循環させながら、バーナーで加熱することで、クーラントの温度をつねに70℃以上の高温に維持してくれます。
これならマイナスの極寒の地であっても、クーラントが冷えること無く、しっかりと暖房を効かせることができます。寒冷地のバスには、なくてはならない存在なのです。
まとめ
今回はプレヒーターについて紹介しました。
バスには乗用車にはないおもしろい装備がたくさんあります。今後もあまり知られていない装備を取り上げていきますので、よろしく~♪
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