茨城県水戸市に行ってきました。
水戸駅西口バスターミナルでバスを撮っていると、とんでもないバスが出現してくれました。
丸目のヘッドランプ。手書き風に書かれた「ワンマン」の行灯。
レトロな要素満載のこのバスは、茨城交通が所有するバスのなかで最古参となる日野レインボー「水戸22あ1102」です。
驚くことに車齢はなんと35年!1987年製に導入され、以降ずっと茨城交通で活躍しています。
もともとこのモデル(P-RJ172BA)は、茨城交通に大量に在籍していました。「1つ目RJ」の愛称で親しまれ、茨城交通の代名詞ともいえる存在だったようです。しかし、時は令和。さすがに35年も前のバスですので、これまでに多くの同型車が引退してしまいました。
そんな廃車の波を唯一乗り越えることができたのが、今回紹介する1102です。車齢30年を目前に控えた2016年に補修が行われ、年月を感じさせないキレイな車体に若返りを果たしました。6年経った今も輝かしい状態が保たれており、今日もノスタルジックな丸形のライトと「ワンマン」の行灯を灯しながら、水戸の街を走り抜けています。
おそらく実質的に動態保存車となっているのでしょう。運転士さんや整備士さんにとって、バスは我が子のようなものです。若かりし頃に手をかけていた「1つ目RJ」を後世に引き継いでいきたいという熱い思いが込められての取り組みだと思います。
同じみちのりグループの福島交通でも、30年以上経過しているバスが未だに稼働しており、実質、動態保存していると言われています。豪雨災害により車両が浸水し、一度は廃車の危機を迎えましたが、整備士の方の必死の修理で、見事に復活を遂げました。現在も郡山で活躍しています。
こうした取り組みは大変意義のあるものと思っています。たとえ1台でも産業遺産を実物として残しておくとにより、技術革新の歴史を形あるものとして残すことができます。
水戸には数日間滞在していましたが、毎日目にすることができましたので、現在でも日常的に運用されているようです。おそらく朝夕の通勤時間帯にバスプールを眺めていれば、よっぽど運が悪くない限り、来てくれると思いますので、水戸へ行く機会があればぜひご覧あれ。
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