観光バスに搭載されているデンソーバスエアコンのエラーコードをまとめてみました。整備の参考になれば幸いです。
はじめにチェック!故障じゃないよ!
次の表示は故障ではありません。
(サブ冷のみ)
3~4回くりかえしても始動しない場合は、点検が必要です。
(サブ冷のみ)
これらの表示は故障ではありません。原因を取り除けば、正常に動作します。
そして、よくある間違いがこれ↓
H○○・C○○と表示されている場合です。
能力固定で運転する手動モードじゃないの?と思いがちですが、これは手動運転ではありませんのでご注意!
これは点検時に使用する固定モード運転という機能です。通常の運転での使用は推奨されないので、ON/OFFボタンを押して解除してください。
エラーコード
クリックすると、該当するモデルにジャンプします。
エラーコード表(現行モデル・直結式の場合)
現在販売されている三菱ふそう エアロエース・エアロクイーン、日野セレガの直結式フルオートバスエアコンはこちらとなります。
対象
およそ2008年以降製造のデンソーバスエアコンが対象です。
- 三菱ふそう エアロクイーン・エアロエース(MS9系)
- 日野 セレガ
- いすゞ ガーラ
次の型式が該当します。
- DDL-2ASE-24
- DDL-2ASE-49
エラー確認方法
温度表示横に-が表示されている場合、なんらかのエラーが発生しています。
この状態で「点検」ボタンを3秒以上長押しします。
長押ししている間、すべてのエラーコードが順次表示されます。
エラーがない場合は「000」と表示されます。
ボタンを離すともとに戻ります。
冷凍サイクルとゾーン制御システムについて
はじめにエラーコードの理解に必要な知識を提示しておきます。
現行のデンソーバスエアコンは、2系統の冷凍サイクルを有します。
つまり、コンプレッサー・エバポレータ・コンデンサといったエアコンユニットが2つ設置されています。2つのユニットは「No.1」と「No.2」として区別されます。
つまり、エラーを確認するときは、どのユニットで起こっているか確認が必要となります。エラーコード表にある「No.1系統」などの表記は、エアコンユニットの系統のことを表しています。
天井設置型については、左右が独立した冷房系統となっています。
No.1系統は車両右(運転席側)の冷房サイクル、No.2系統は車両左の冷房サイクルを示します。温度センサーも左右別で設置されています。
一方、床下直結式モデルについては、仕組みが異なります。
天井設置型と同じく、計2系統の冷凍サイクルを有していますが、これはあくまで能力調整および故障時のバックアップ用です。2系統のエバポレータは1つのエアコンユニットに設置されており、送風時に混合され、共通のダクトから送風されています。そのため、ゾーンによる温度制御は行われません。温度センサも1つのみとなっています。
なお、暖房(ヒーター)についても、天井設置型はゾーン制御が行われます。
天井設置型については、前後左右計4つのヒーターユニットが床下に設置されています。4つのヒーターユニットは独立して風量・温度制御を行います。
一方、床下直結式の場合は、暖房も1つのエアコンユニットで担い、共通のダクトから送風されます。このため、独立した温度制御は行われません。
リヒートコアについて
「リヒートコア」とは、天井に設置されているエアコン(クーラー)ユニットに設置されている暖房放熱器のことを指します。
床下のヒーターユニットには、暖房の熱源用にクーラント配管と熱交換器が設置されていますが、これと同様に天井設置のエアコンユニットにも、クーラント配管と熱交換器が設置されています。
おもに冬場の除湿運転で吹き出し温度が下がりすぎるのを防止するため、冷却した吹き出し前の送気を温め直す(リヒートする)ための機構です。
エアコンで除湿運転を行うには、一度冷凍サイクルで空気を冷却する必要があります。冷却することで熱交換器に結露が生じ、除湿する仕組みです。
しかし、特に冬場、そのまま除湿済みの空気を送風してしまうと、吹出口から冷たい風が出てきてしまいます。
そこで、吹き出し前に温め直してから送風する(=リヒートする)ようにします。このとき温めるのに使用するのが、リヒートコアです。
「リヒート流調弁サーボモーター異常」というエラーがありますが、これはリヒートコアに流すクーラント量を調節するサーボが故障しているというエラーとなります。リヒートコア流調弁はプレヒーターに配置されていますので、そこを点検してください。
リレー・ヒューズボックス
温度ヒューズはプレヒーターの熱交換器(窯)に設置されています。釜の一番奥(底面)に設置されているため、点検口側からは目視できません。
リレー・ヒューズボックスは、トランクルーム内の天井に設置されています。電流ヒューズが溶解した場合は、トランクルームにあるリレーボックスを点検してください。
エラーコード(天井設置型)
コード | 内容 | 判定基準 |
---|---|---|
C1 | 高圧異常(No.1系統) | 冷媒圧力(高圧側)2.82MPa以上、センサ出力4.335V以上 |
C2 | 低圧異常(No.1系統) | 冷媒圧力(低圧側)0.05MPa以下、センサ出力0.75Vが1分以上継続した場合 |
C3 | 高圧異常(No.2系統) | 冷媒圧力(高圧側)2.82MPa以上、センサ出力4.335V以上 |
C4 | 低圧異常(No.2系統) | 冷媒圧力(低圧側)0.05MPa以下、センサ出力0.75Vが1分以上継続した場合 |
C7 | コンプレッサー制御弁異常(No.1系統) | 制御弁断線または短絡 |
C8 | コンプレッサー制御弁異常(No.2系統) | 制御弁断線または短絡 |
C10 | 低圧圧力センサー異常(No.1系統) | センサ入力4.35V以上が1分以上継続した場合 |
C11 | 低圧圧力センサー異常(No.2系統) | センサ入力4.35V以上が1分以上継続した場合 |
C20 | 内気センサー1異常 | センサ抵抗値 200.93Ω以上または348.7Ω以下で発報 |
C21 | 内気センサー2異常 | センサ抵抗値 200.93Ω以上または348.7Ω以下で発報 |
C22 | 内気センサー3異常 | センサ抵抗値 200.93Ω以上または348.7Ω以下で発報 |
C23 | 内気センサー4異常 | センサ抵抗値 200.93Ω以上または348.7Ω以下で発報 |
C25 | 外気センサー異常 | センサ抵抗値 65.2Ω以上または122.6Ω以下で発報 |
C26 | 内気ガスセンサー異常 | センサ出力 0.5V以下または断線・短絡時 |
C27 | 外気ガスセンサー異常 | センサ抵抗値 30Ω以下 |
C28 | 内気湿度センサー異常 | 以下のいずれかで発報 ・温度センサ抵抗値 65.2Ω以上または122.6Ω以下 ・湿度センサ出力:4.5V以上または0.3V以下 |
C29 | 内外気切り替えサーボモーター1異常 | ボリューム電圧検出不良 |
C30 | 内外気切り替えサーボモーター2異常 | ボリューム電圧検出不良 |
C33 | イニシャル異常 | |
C35 | 通信異常 | コントロールパネル-エアコン側ECUでの通信異常 データ送受信が10秒以上停止しタイムアウトした場合に発報される。 |
C37 | CAN通信異常 | ECU-車両側ECUでの通信異常 |
C38 | 12V過電圧異常 | |
C39 | 12Vショート異常 | |
C40 | 24V過電圧異常 | |
H1 | 温水入口温度センサー異常 | |
H2 | 温水出口温度センサー異常 | |
H3 | 温水出口温度過熱異常 | |
H4 | 温度ヒューズ異常 | |
H5 | 着火検出センサー異常 | |
H6 | 燃焼ファンモーター低回転異常 | |
H7 | 温水出口温度異常 | |
H8 | 燃焼ファンモーター高回転異常 | |
H9 | 温水配管誤接続 | |
H10 | 予熱器着火異常 | |
H11 | 三方流調弁サーボモーター異常 | |
H12 | リヒート流調弁サーボモーター異常 | |
H13 | 吹き出し温度センサー1異常 | |
H14 | 吹き出し温度センサー2異常 |
エラーコード(床下設置型)
天井設置型とほぼ同じですが、床下設置型は左右の温度制御が独立していない関係上、一部コードが省略されています。
コード | 内容 |
---|---|
C1 | 高圧異常(No.1系統) |
C2 | 低圧異常(No.1系統) |
C3 | 高圧異常(No.2系統) |
C4 | 低圧異常(No.2系統) |
C7 | コンプレッサー制御弁異常(No.1系統) |
C8 | コンプレッサー制御弁異常(No.2系統) |
C10 | 低圧圧力センサー異常(No.1系統) |
C11 | 低圧圧力センサー異常(No.2系統) |
C20 | 内気センサー1異常 |
C22 | 内気センサー3異常 |
C23 | 内気センサー4異常 |
C25 | 外気センサー異常 |
C26 | 内気ガスセンサー異常 |
C27 | 外気ガスセンサー異常 |
C28 | 内気湿度センサー異常 |
C29 | 内外気切り替えサーボモーター1異常 |
C30 | 内外気切り替えサーボモーター2異常 |
C33 | イニシャル異常 |
C37 | CAN通信異常 |
C38 | 12V過電圧異常 |
C39 | 12Vショート異常 |
C40 | 24V過電圧異常 |
H1 | 温水入口温度センサー異常 |
H2 | 温水出口温度センサー異常 |
H3 | 温水出口温度過熱異常 |
H4 | 温度ヒューズ異常 |
H5 | 着火検出センサー異常 |
H6 | 燃焼ファンモーター低回転異常 |
H7 | 温水出口温度異常 |
H8 | 燃焼ファンモーター高回転異常 |
H9 | 温水配管誤接続 |
H10 | 予熱器着火異常 |
H11 | 三方流調弁サーボモーター異常 |
H13 | 吹き出し温度センサー異常 |
エラーコード表(~2000年前半製造・サブエンジン式)
2000年~2006年くらいまでに製造されたデンソーバスエアコンについてはこちらです。
対象
- 日野 セレガ・セレガR
- いすゞ ガーラ2000
- 三菱ふそう エアロバス・エアロクイーン(オプション装備車・MS8系)
次のコントロールパネルが対象です。
エラー確認のしかた
エラーが発生していると、温度表示左側に縦棒が表示されます。
「点検」ボタンを押すと、エラーコードが表示されます。
複数のエラーが発生している場合は、くりかえし「点検」ボタンを押すことにより、すべてのエラーコードを順次表示できます。
応急運転のしかた
すべてのエラーコードが表示されたあと、さらに「点検」ボタンを押すと、エアコンを運転できる場合があります。
点検ボタンを押し続けていき、温度表示に戻った場合は、故障部分を回避してエアコンを使用することができます。
ただし、点検ボタンを続けて押して、なにも表示されなくなった場合は、修理を受けるまでエアコンは使用できません(T_T)
エラーコード(修理するまで運転できないもの)
冷房運転時のエラーコード
コード | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
C01 | 高圧カット | 冷媒圧力が高すぎる。コンデンサーが汚れているなどにより、放熱が十分に行われていないことが原因。よって、コンデンサー・ラジエーターの洗浄を行う。 |
C02 | 低圧カット | 冷媒圧力が低すぎる。冷媒ガスが不足していることが原因として多い。点検整備が必要。配管の気密チェックを行い、ガスの補充を行う。 |
C03 | 油圧異常 | エンジン油圧異常もしくは油圧センサー故障。点検整備が必要。 |
C04 | 水温サーミスタ異常 | 水温センサーの故障。点検整備が必要。 |
C05 | 水温異常 | サブエンジンがオーバーヒートしている。走行して冷却する。頻発する場合は点検が必要。 ラジエーターキャップ開けないこと!やけどします! |
C06 | 燃料バルブ断線 | 燃料バルブの故障。点検整備が必要。 |
C07 | 回転数センサ異常 | エンジン回転数センサーの故障もしくは回転数異常。点検整備が必要。 |
SEE | 起動失敗 | エンジンの起動に失敗。もう一度エアコンを起動して、エンジンがかかればOK。 |
暖房運転時のエラーコード
コード | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
H01 | プレヒーター入口側サーミスター異常 | |
H02 | プレヒーター出口側サーミスター異常 | バルブ開いているか?ポンプ動いているか? |
H03 | 過熱防止サーモセンサー異常 | プレヒーター過熱。給気口がふさがっていないか?冷却ファンが故障していないか? |
H04 | 温度ヒューズ異常 | 温度ヒューズが飛んでいる。ヒューズ交換必要。過熱原因の探索・修理も必要です。 |
H05 | 着火検出センサ異常 | 炎センサーの異常。CdSセンサーの清掃。 |
H06 | 燃焼モーター回転数センサー異常 | 点検整備が必要。 |
H09 | 温水配管の誤接続 | 正しく配管されているか? |
PHE | プレヒーター着火不良 | プレヒーター点火に失敗。失火。再度エアコンを起動。繰り返す場合は要整備。 |
エラーコード(エアコンは使用できるが、要修理)
コード | 内容 |
---|---|
C08 | フロスト防止サーミスター断線・短絡 |
C09 | 燃料フィルター水分スイッチON |
H07 | プレヒーター水温異常 |
H08 | 温水流量調整サーボモーターポジション異常 |
A01 | 内気サーミスター断線・短絡 |
A02 | 外気サーミスター断線・短絡 |
U02 | 内気ガスセンサー2出力異常 |
U03 | 外気ガスセンサー出力異常 |
U04 | 外気ダンパーサーボモーターポジション異常 |
U05 | 内気ダンパー2サーボモーターポジション異常 |
U07 | バイレベル吸い込みダンパーサーボモーター右ポジション異常 |
U08 | バイレベル吸い込みダンパーサーボモーター左ポジション異常 |
エラーコード表(~1995年製造・サブエンジン式)
1995年より前に製造されたモデルのエラーコードは以下のとおりです。さすがに現役の車両は少ないものと思われますが、一応掲載しておきます。
対象
1995年より前に製造されたもの。
上部に7セグの温度表示部のみがついているコントロールパネルのもの。
エラーコード
多くは2000年前後製造モデルとほぼ共通
力尽きました٩(๑´0`๑)۶
必要な方はコメントからお知らせください。
まとめ
以上、デンソーバスエアコンのエラーコードでした。
エラーになっていても、応急運転できることがありますので、確認してみてください。
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