アニメで解説シリーズ第2弾!今回は「圧縮開放ブレーキ」について解説していきます。
前回は排気ブレーキのしくみを解説しました。排気ブレーキは中型車までに搭載される補助ブレーキですが、大型車には「圧縮開放ブレーキ」と呼ばれる別の補助ブレーキが搭載されていることが多いです。
今回もGIFアニメ付きでわかりやすく解説してきます!
圧縮開放ブレーキとは?
圧縮開放ブレーキとは、大型トラックや大型バスに搭載されている補助ブレーキ装置です。
補助ブレーキとは、フットブレーキのほかに搭載されているブレーキのこと。排気ブレーキの解説でも触れましたが、大型車は車重がとても重いため、フットブレーキだけで止まろうとすると、すぐにブレーキが摩耗してしまいます。
大型バス(観光バス)は15トン、大型トラックの車重は30トン近くになるものもあります。
フットブレーキだけで止めようとすると、ブレーキが過熱したりとトラブルの原因に。そこでトラックやバスには補助ブレーキが搭載されているのです。
そこで、フットブレーキのほかにも、制動をアシストする何種類かのブレーキが搭載されており、それを補助ブレーキと呼んでいます。
前回の記事では「排気ブレーキ」について解説しましたが、排気ブレーキはおもに小型から中型クラスのバス・トラックに搭載されている補助ブレーキです。大型車にはより強い制動力を生じることができる「圧縮開放ブレーキ」と呼ばれるブレーキがついています。
圧縮開放ブレーキのイメージ
では、さっそく圧縮開放ブレーキの仕組みを解説していきましょう。
アニメーションの前にざっくりとイメージをお伝えします。
↑圧縮開放ブレーキというのはまさにこういうイメージです。
最初エンジンはおりゃーっと燃えています。
ピストンが強力に動き、ピストンシリンダーの圧力がグイグイッと爆上がり!
・・・のはずが。
突然、「プスッ」とこいてしまいます。
上がろうとしていた圧が逃げてしまい、勢いをなくしたピストンくん。
しょんぼりと減速していきましたとさ。(´・ω・`)
【GIFアニメ付き】圧縮開放ブレーキの仕組み
↑これが圧縮開放ブレーキのイメージです。
圧縮開放ブレーキでは、ピストンシリンダー内の圧力を逃がすことで、制動力を得ています。
GIFアニメを見ながら、もう少し具体的に解説しましょう。
まず、ピストンが移動するにつれて、ピストンシリンダー内の圧力が上がっていきます。
そのタイミングで弁を開き、圧を逃します。
そして、圧を逃したら、すぐに弁を閉じます。
ピストンは往復運動していますから、ピストンはやがて反対側に動こうとします。
ピストンとシリンダーの空間は密閉されています。この状態でピストンが反対側に移動しようとすると、ピストンにはどういった力がかかるでしょうか。
注射器の先に栓をして、引っ張ったときのことを考えてみてください。
注射器の中が陰圧になり、ピストンを動かしにくくなりますよね。
つまり、ピストンの動きを止める向きに力がかかることがわかります。
言ってみれば、ピストンにより、ピストンを引く手を引っ張られているようなもの。この力を陰圧といいます。
この原理を使って、制動力を生むのが圧縮開放ブレーキです。
つまり、まとめると、ピストン内の圧力を逃がし、ピストンが反対側に動きはじめるタイミングで再び蓋をします。すると、ピストンに陰圧がかかり、ピストンの動きが悪くなります。
ピストンと車輪はつながっていますから、ピストンの動きは車輪の動きと同じです。結果的にブレーキ力が発生します。
これが圧縮開放ブレーキの仕組みとなります。
排気ブレーキとの違いは?
排気ブレーキとの最大の違いは、ピストンシリンダーの陰圧を利用している点にあります。
排気ブレーキでは、排気経路に蓋をすることで、排気ガスの抵抗でピストンの動きを封じ込んでいました。
いわば、バナナの皮をマフラーに突っ込んで、排気ガスの流れを邪魔し、エンジンの動きを悪くするようなものです。
一方、圧縮開放ブレーキでは、ピストンシリンダーの圧力を逃し(圧縮開放)、再び密閉した状態でピストンの下降を起こすことで、ピストンにかかる陰圧をブレーキ力に利用しています。
この点が最大の違いです。
まとめ
今回は「圧縮開放ブレーキの仕組み」について解説してみました。
排気ブレーキに比べ複雑な仕組みですが、大きな制動力を生むことができるため、大型車を中心に採用されています。
きっとあなたの運転している大型バスやトラックにもついているはずです。確認してみてくださいね♪
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