あえて遅れるようになっている?バスが遅れるカラクリを解説します!

バスのしくみ

手軽に利用できる路線バスですが、最大の弱点はやはり定時制の悪さでしょう。

バスが遅れるのには、渋滞に巻き込まれたり、天候の影響で遅れたりといろんな理由がありますよね。

しかし、実はそもそも路線バスの時刻表は遅れが生じるように作られているということをご存じでしょうか?

たいていのバス会社では、なんのトラブルがなくても、数分程度遅れが生じるようにバスの時刻表を作成しています。

なぜ、わざわざ遅れるような時刻表を設定しているのか?解説したいと思います。

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バス業界の御法度「早発」とは?

バス業界で使われる用語のなかに「早発」という単語があります。

早発」とは、時刻表に掲示された定時よりも早く、バスを発車させることをいいます。

バスのイラスト

例えば、時刻表では10時10分 発となっているところ、10時9分にバスを発車させたとします。この場合、たとえ発車させた時刻が10時9分59秒であったとしても、バスを発進させたらその時点で「早発」に該当します。

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早発は法律で厳格に禁止されている!

こうした早発は旅客自動車運送事業運輸規則 第十二条により、明確に禁止されています。

第十二条 一般乗合旅客自動車運送事業者は、第五条第一項第三号及び第二項第三号の規定により営業所及び停留所に掲示した発車時刻又は同条第一項第四号若しくは第五号の規定により営業所に掲示した発車時刻前に、事業用自動車を発車させてはならない。

旅客自動車運送事業運輸規則 | e-Gov法令検索

道路運送法に基づく「旅客自動車運送事業運輸規則」第十二条では、時刻表に掲示された発車時刻より前にバスを発車させることを禁じています。

もし、バス停を通過しようとする時点で、発車時刻に至っていなかった場合は、発車時刻になるまでバスを停車させる必要があります。

早発禁止はバス利用者のため。

しかし、どうしてこのような規定があるのでしょうか?

理由はお客さんの利益を守るためです。

運転士の独断で発車時刻を早めることができてしまえば、時刻表は意味をなさなくなってしまいます。

お客さんは何時にバス停で待っていればバスに乗れるのか分かりませんし、「きちんと定時にバス停で待っていたのに、すでにバスが行ってしまっていた・・・」とった事態にもなりかねません。

これではバスの利用者が安心して利用することができなくなってしまいます。

そこで、旅客自動車運送事業運輸規則では、時刻表で定めた時刻より前にバスを発車させること(早発)を禁じているのです。違反した場合は、行政処分の対象となります。

時刻表は早発防止に配慮して作られている!

早発は公共交通としての機能障害を招き、違反時には行政処分の対象にもなります。

バス事業者としても早発を防ぐべく、さまざまな努力を行っています。その中の一つが適切な時刻表(ダイヤ)作成です。

バス停のイラスト

乗客としては、余裕を持った時刻表を作成し、なるべく遅れが生じないことを期待するものですが、あまりに余裕があり過ぎると、早発してしまう可能性が高まります。

とくに地方では、交通量も利用者数も少ないことがあり、スイスイ走っていると、あっけなく発車時刻より前に次のバス停に着いてしまうということも。

そこで、多くのバス事業者では、あえて数分程度の遅れが生じるようにし、早発しないよう配慮して時刻表を作成しているのです。

例えば、通常は2分かかるであろうバス停間があるとします。この場合、あえて所要時間を1分程度と計算しておき、少し遅れる設定としておきます。こうしておけば、定時より早く発車してしまうことを防ぐことができます。

早発しそうなときはバスをバス停で停車させればOKです。しかし、現実的には路上に大きなバスを止めておけないケースも少なくありません。

そこで、長時間バスを止めておくのが困難なバス停では、多少遅れ気味に発車時刻を設定します。

一方、十分な待機スペースがあるバス停では、早発しそうなときはバスを停車させられるため、遅れの挽回もかねて、ゆとりをもった時刻設定にしておくことが多いようです。

まとめ

今回はバスが遅れる理由について解説しました。

バスのイラスト

”なるべく遅れないでほしい”というのがお客さんの本音でしょう。でも、この「多少の遅れ」が、安心安全なバスの運行において、重要な役目を果たしているのですね。

なお、最近は乗りたいバスの現在地が分かる「バスロケーションシステム」もさかんに導入されています。こうしたサービスを活用し、快適にバスを利用していきましょう♪

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