バスのサブエンジンについてのマニアックなギモンに対し、サクッと答えていきます。
Q:サブエンジンの始動ってどうやるの?
エアコンにより自動制御されています。
エアコン運転中に車内の温度が上がったり、湿度が上がったりすると、自動的にサブエンジンが起動し、冷房・除湿運転が行われます。手動での始動は必要ありません。
その後、十分に車内温度が下がると、自動的にサブエンジンが停止し、無駄な運転を防ぐようになっています。
Q:手動で始動するバスもある?
1980年代くらいまでは、手動で始動する必要があるバスもあったようです。サブエンジン用のキースイッチが設置されており、冷房を使用する際はあらかじめ始動しておく必要があったとのこと。
ただし、現在国内を走っているサブエンジン車については、ほぼ100%がコンピューター制御となっており、自動的に始動する仕組みとなっています。
Q:サブエンジンの排気量ってどれくらい?
意外と小さいエンジンが使われています。
ネット検索すると、ハイエースのエンジンが使われているなどという情報がヒットしますが、排気量は同じくらいでも出力が小さい、もっと小型のディーゼルエンジンが採用されています。
例えば、デンソー製バスエアコンに採用されているトヨタ2DZは、1,974cc。定格出力はわずか50馬力(2400rpm)です。ディーゼルエンジンの設定があったころのトヨタ・ライトエースでさえ100馬力はありましたので、かなり小さい出力であることがわかります。トヨタ2DZはバスエアコン専用設計のディーゼルエンジンのため、走行用として搭載されている車種はありません。
三菱バスエアコンについても同じクラスのエンジンが使われているようです。あまり詳しくありませんが、MS8最終型に搭載されていたエアコン(BS750)のエンジンはたしか4D68。2Lクラス、60馬力程度の小型ディーゼルで、こちらは乗用車に搭載されていた実績がありますが、おもに小型車用です。
車なら急加速や登坂といった場面に出くわしますが、サブエンジンの場合、コンプレッサーを一定の回転数で回すだけですので、それほど大きなパワーは必要ないわけです。
Q:サブエンジン始動時にファンが止まるのはなぜ?
意外と知られていないところかもしれませんが、サブエンジン運転中は、ファンの駆動もエンジンで行われています。
サブエンジンが停止しているときはモーター駆動ですが、サブエンジン駆動中はブロアもエンジンの動力で回せるようになっています。
シロッコファンにつながっているシャフトに減速ギアとマグネットクラッチがついており、サブエンジンの回転でファンを駆動できる仕組みです。サブエンジン始動後にモーター側のクラッチを切り、エンジン駆動に切り替えるときに、一度ファンの回転が落ちます。
聞くところによると、電気系統が弱かった時代は夏場の渋滞中などにオルタネーターの発電量が減少してしまい、電動駆動のファンではバッテリーが上がってしまうことがよくあったとのこと。そこで、ファンもサブエンジンで駆動するようにし、電力消費をギリギリまで抑える設計になっているとのことです。
Q:サブエンジンのマフラーはどこに?
運転席側のエアコンユニット下部にちょこんと出ています。
Q:ときどき2本出しになっていることがあるけどなんで?
プレヒーターの排気管も並べて出しているときがあります。
Q:路線バスにもサブエンジン式ってあるの?
サブエンジン式エアコンは、一般的に観光バスタイプの車両に搭載されています。しかし、かつては路線バスにもサブエンジン式エアコン(クーラー)の設定がありました。
90年代に入ると直結式が大半を占めるようになりましたが、送迎車などのツーステップ車にはまだ設定がありました。
10年くらい前に青森に行ってきたときのこと。イトーヨーカドー弘前店に入っているバスターミナルで待機していた弘南バスの日野レインボー(KC-RR1JJAA・自家用マスク)がサブエンジンを始動。モクモクの白煙をボッコンボッコンいいながら吐き出し、ヨーカドー弘前店バスターミナルが真っ白になったのを覚えています。
たしかに昔はありましたが、現役の車はかなり少ないと思います。
1960~70年代にはマイクロバスにもサブエンジン式クーラーが装備されていた事例があるようです。
まとめ
満足しましたか?(笑)
バスは空調も見どころです。巨大な車内空間をいかにして快適にしているのか、そこには数多くの技術者たちの知恵と努力が詰め込まれています。
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